INDUSTRY TREND 造船業界の動向

世界を支える造船業のこれから

地球は7割が海で覆われている。そして私たちに必要なモノは世界各地に点在している。その様々なモノを大量に安く、環境に優しく運べるものは船のみである。船の歴史を遡ってみると、紀元前4000年から始まる。人類が初めてつくった乗り物であり、その当時からヒトやモノを運ぶ手段として大いに活用され、進化し続けてきた。物資を求めるヒトが世界中にいる限り、船という輸送手段はなくなることはない。
国連本部の統計では、世界人口は2014年時点で約70億人であるのに対し、2100年には108億人を突破すると予測している。必然的にヒトが使うモノも増え海上輸送量も増えることに伴い、必要な船も増加すると考えられる。今まで以上に省エネで環境に配慮した船の需要がますます高まっていく。

ライバルに対抗する日本造船業界の将来

建造量のシェアは日本、韓国、中国で約90%を占めており、竣工量で見ると、中国、韓国、日本の順となる。その背景として、リーマン・ショックを発端とした世界的不況により、荷動きが悪くなったことで船腹過剰となり、船の価格が下がった。それにより、自国の通貨と人件費を含む建造コストが低い中国・韓国は、受注量を増やしていった。
しかし現在、両国は、経済発展による賃金の上昇や為替変動により自国の通貨である人民元とウォンの価値が上がったため建造コストが上昇し、経営状況は非常に厳しい。それに対し日本は、幾度と無く繰り返した不況を乗り越えることで、世界でも類を見ない生産効率と機動性を手に入れた。また、世界が求める品質に応えるために、環境問題や省エネ対策に継続的に取り組んできた。その結果、他国にはない高品質な船を提供することでお客さまのニーズに応え続けている。
これからも技術力の維持や生産効率の向上を図り続けることで、両国と対等以上に渡り合っていける。

  日本 韓国 中国
建造量(GT) 2,560,000 4,763,333 3,976,667
労働者数(人) 3,055 20,667 87,833
生産性(GT/人) 838.1 230.5 45.3
日韓中造船業の1人あたりの生産性の比較